【新刊情報】高橋勤『野生の文法ーソロー、ミューア、スナイダー』

タイトル: 『野生の文法(グラマー)ーーソロー、ミューア、スナイダー』
著者: 高橋 勤  著

209ページ+index
価格: \4,620(税込)
発行年月: 2021年10月
九州大学出版会

 

はしがき

凡例

第一章 野生の系譜学

 一 「ウォーキング」の成立過程
  言葉の再定義/思想の形成
 二 思想の水脈
  「プロト・ウォーキング」/ニューヨーク体験/ハーヴァード・エッセイ
 三 影響の不安
  エマソンの亜流/身体という「果実」
 四 野生論の意義
  病の思想/リメディアルな作用

第二章 野生児の帝国 ──「ウォーキング」再読

 一 オオカミ少年少女
  野生の寓話/文化のピラミッド/三つの側面
 二 アメリカ文化論
  詩人のペルソナ/「明白な天命」/ミシシッピのパノラマ
 三 黄褐色の文法
  反知性主義/実践思想
 四 文学における野生
  自然を表現する文学

第三章 背後の自然 ──『ウォールデン』

 一 ウォールデンの森に木はあるのか
  オルコットの絵/風景の記述
 二 とはなにか
  野生論への傾斜/フロンティアの意味合い
 三 『ウォールデン』における野生願望
  野生化する家具
 四 セルフ・カルチャーの再定義
  根をもつということ/アンタイオスの寓話
 五 文化のプロセス
  文字から音へ/ふたつの方向性

第四章 詩人としての先住民 ──『コンコード川とメリマック川の一週間』

 一 野外の文学
  「青天井」的性質/庭のイメージ
 二 「野生」の同義語
  思想化のプロセス/ワイルドの同義語
 三 先住民をめぐる想像力
  ビラリカ幻想/「アメリカのマンチェスター」/インディアン捕囚記/頭皮狩りの詩学
 四 古典文学論
  文学における先住民性/「ホメロス、オシアン、チョーサー」

第五章 神話の森へ ──『メインの森』

 一 作品の亀裂
  野生のフィクション/「クタードン」の孤立性
 二 モック・ヒロイックな体験談
  失望と幻滅/叙事詩的想像力/ローウェルの検閲
 三 野生の言語
  ペノブスコットの語彙リスト/先住民のヴァナキュラー/詩人の言葉
 四 先住民の森へ
  はじめての燐光/神話的な心性

第六章 牧神の死

 一 森の神
  「ソローのフルート」/「森の住人」
 二 エマソンの弔辞
  「コケモモ摘みの隊長」/不仲説
 三 書き換えられた日記
  エマソンの編集癖/カエルと人間
 四 文化の「土臭さ」
  「目の独裁」/文体の特質

第七章 ウィルダネスという聖地──ジョン・ミューア

 一 カリフォルニアのエマソン
  出会いと別れ/エマソンの手紙
 二 ソローの影響
  コンコード詣/ふたりの女性/自伝の構成/自然観察
 三 自然保護という思想
  「野生の殉教者」/思想の接近/レクレーションの論理
 四 告発のレトリック
  レッドウッドの原生林/破壊の言説

第八章 熊と結婚した女──ゲーリー・スナイダー

 一 異種混交の寓話
  物語のあらすじ/神話の類似性
 二 スナイダーの解釈
  深層エコロジー/「思考の吝嗇」
 三 「ウォーキング」から『野生の実践』へ
  ソローの影響/異種なる母性/夢をさまようボブキャット
 四 自然と暮らしの文法
  イヌピアク復興運動/自然の本/「言語のエコロジー」

最終章 野生の文化論 ──「インディアン・ノートブックス」

 一 名前の由来
  「おきなぐさ」/「具体の科学」/神話の意味
 二 「インディアン・ノートブックス」
  フレックの編集/北米の神話/「人類学者ソロー」
 三 象徴としての言語
  自然を表現する文学
 四 栽培文化のリスク
  文化の多様性/トーテミズムの意味合い

 主要参考文献
 あとがき
 索引

2021年10月08日